商品説明
日本史
【内容紹介】
<<日本文化再発見>>の一環として遊女・遊里の歴史を文明論や社会学の視点から緻密に解き明かした記念碑的名著が〈普及版〉となって久々に復刊! 「上巻」では京都花街の成立を中心にその展開と全国への影響を解説する。
思えば「美しく、やさしく、教養高い」妖しくも奇妙な一団の女性群と、これをはぐくみ育てた遊里の不可思議な環境とは、日本文化史上の一大偉観といわねばならない。
近世の文芸、美術、服飾、あるいは個人的社会観や死生観、その他いろんな価値観に大きな影響を与えた遊女・遊里の存在を、ここらで目を凝らして見直すべきではなかろうか。
(「はじめに」より)
【目次】
上巻◆主な内容◆
序章 花街史をめぐる問題点
〔起〕編 花街史総論
第一章 遊女の発生と花街の形成(散娼のはじまり/花街の形成)
第二章 京都花街史総説(京都花街の発生/最初の集団公認娼妓街二条柳町/ 開放的遊廓・六条三筋町/新天地島原への突然の移転命令/幕府の過酷な遊女取締まり/幕末における遊里統制の軟化/「遊女上位」の島原と「芸者上位」の祇園)
〔承〕編 花街史各論
第三章 近世京都花街の盛衰(京都花街の特色/現世の極楽・島原遊廓/神域だった祇園のなりたち/島原からの「出稼」二条新地/北野上七軒の盛衰/七条新地と五条橋下/先斗町と町名の起こり/「聚楽第」の跡地・五番町/八坂神社と因縁深い宮川町/遊女不在の花街・三本木/「かわら地」だった下河原/名刹・清水寺と清水新地/八坂神社に接する辰巳新地/京都御所の真横にあった白梅図子/壬生寺と密着した壬生遊廓/脇坂中務少輔邸跡の中書島/大石良雄の遊んだ撞木町/遊廓よりも宿場色の濃い墨染/遊廓の復興と大火の関係/非合法の遊所と隠し売女)
第四章 維新後遊廓の変貌(花街の近代化/花街の明治・大正・昭和/残った廓・消えた廓)
第五章 全国遊里案内(全国の有名遊所/京島原をモデルとした江戸吉原/大坂の代表的遊廓・新町/名古屋城の創築と名古屋遊廓/百万石・金沢の遊廓/南蛮人相手の長崎丸山遊廓廓と遊里)
【著者略歴】
1921年生まれ。
京都大学法学部卒。
元読売新聞大阪本社記者、論説委員。
1964年小説「月明に飛ぶ」でオール読物新人賞受賞。
著書に『日本花街史』、『近世事件史年表』(ともに雄山閣刊)などがある。