商品説明
地理・地誌・紀行
【内容紹介】
「これは奇麗で解り易い」
大正時代に当時の皇太子（後の昭和天皇）からこのように嘉賞された
鳥瞰図絵師・吉田初三郎の鉄道沿線作品だけを収録した図録集。
大正時代から昭和初期にかけて人々の旅情を掻き立て、
鉄道省国際観光局の初代嘱託画家として日本の観光ブームの中心に位置した吉田初三郎。
“大正の広重”と称された不世出のグラフィック絵師が手掛けた
鉄道沿線旅行案内図を制作年代順に61本採録。
30年近く吉田初三郎のゆかりの地などを取材し続けている著者が所有するコレクションを中心に掲載しています。
現在も親しまれている鉄道会社から、すでに廃止されてしまった路線まで、
美麗な鳥瞰図を通して大正時代から昭和20年代までの日本全国の鉄道路線を知ることができます。
（吉田初三郎とは?）
1884（明治17）年、京都生まれ。
尋常小学校を終了後、友禅図案絵師の家に奉公し、その後は京都三越の友禅図案部に勤務。
1908（明治41）年、洋画家の鹿子木孟郎に師事し、鹿子木のアドバイスにより商業美術（デザイン）の世界へ進んだ。
1913（大正2）年、鳥瞰図としての処女作「京阪電車御案内」を制作し、翌年にはその作品が皇太子（後の昭和天皇）に賞賛されて注目された。
1937（昭和12）年に勃発した日中戦争直前から、政府の情報統制により鳥瞰図の制作が制限されたが、太平洋戦争後の1948（昭和23）年から本格的に活動を再開。
1955（昭和30）年に71歳で没するまでに約2000点にのぼる名所図絵や鳥瞰図を手掛けている。
【目次】
【巻頭】
------------------
・吉田初三郎と鉄道鳥瞰図
・吉田初三郎の生涯と鳥瞰図制作
【第1章】大正3年から大正15年の作品
------------------
・京阪電車御案内
・近江鉄道沿線及院線と諸国の関係
・江ノ島電車御案内
・日光電車沿線名所図絵
・越後鉄道沿線名所図絵
・秩父鉄道名所図絵
・青梅鉄道沿線名所図絵
・萩を中心とせる付近名所図絵
・湯平温泉名所図絵
・筑波山名所図絵
・塩原電車沿線図絵
・東武鉄道沿線名所図絵
・大軌電車沿線名所図絵
・湊鉄道沿線名所図絵
・目黒蒲田電鉄東横電鉄沿線案内鳥瞰図
・山陽第一荒瀧山名所図絵
・天下無二耶馬溪全渓の交通図絵
・新和歌ノ浦名所図絵
・銚子遊覧交通名勝鳥瞰図絵
・小暮旅館を中心とせる伊香保榛名の名所交通図絵
【第2章】昭和2年から昭和4年の作品
------------------
・松山道後を中心とする名所交通図絵
・北九州鉄道沿線名所遊覧図絵
・小田原急行鉄道沿線名所図絵
・高野山電車沿線名所図絵
・日本ラインを中心とせる名古屋鉄道沿線名所図絵
・宮島広島名所交通図絵
・赤穂鉄道沿線名所遊覧交通鳥瞰図
・奈良電車沿線を中心とせる鳥瞰図絵
・神戸有馬電鉄沿線名所交通図
・鞍馬電鉄沿線名所交通鳥瞰図
・養老電鉄沿線名所図絵
・富士身延鉄道沿線名所鳥瞰図
・土佐電気沿線名所大図絵
・北九州の仙境小倉鉄道沿線名所図絵
・水浜電車沿線名所案内
・京王電車沿線名所図絵
・前鹿島祐徳稲荷神社参拝交通名所図絵
【第3章】昭和5年から昭和10年の作品
------------------
・湘南電鉄沿線名所図絵
・井笠沿線を中心とせる備南名所交通図絵
・参宮急行電鉄沿線名所図絵
・梅小路駅を中心とせる京都近郊鳥瞰図絵
・神戸市名所交通図絵
・大井川鉄道沿線名所図絵
・長野電鉄沿線温泉名所交通鳥瞰図
・旭川市を中心とせる名所交通鳥瞰図
・九軌沿線御案内北九州図絵
・札幌市郊外定山渓温泉電鉄名所図絵
・下関及び長府を中心とせる鳥瞰図
・福武電鉄及南越鉄道沿線名所図絵
・琴平急行沿線名所鳥瞰図
・淡路鉄道沿線名所鳥瞰図
・三呉線沿線鳥瞰図
・名岐鉄道全線名勝鳥瞰図
・博多湾鉄道沿線名勝図絵
【第4章】昭和28年から昭和30年の作品
------------------
・日本国有鉄道仙台鉄道管理局管内鳥瞰図
・島原鉄道バス景勝鳥瞰図
・みちのくの旅
・庄内交通路線景勝鳥瞰図
・国鉄奥羽本線青森福島間沿線景勝産業鳥瞰図
・新潟鉄道管理局館内温泉鳥瞰図
【著者略歴】
1966（昭和41）年生まれ。
福岡県在住。
企画・製作プロダクションの合資会社アソシエを経営。
アンティーク絵葉書研究や近代写真資料の掘り起こしをライフワークとする。
著書に『ふくおか絵葉書浪漫』『美しき九州 「大正広重」吉田初三郎の世界』（いずれも海鳥社）などがある。
博多カレンダー委員会委員、日本絵葉書会九州支部幹事、日本国際地理学会会員、福岡市西区まるごと博物館推進会会員。