商品説明
日本エッセイ・随筆
【内容紹介】
■ようこそ「さ・か・さ」の学校へ!
時代は激しく揺れていて、これまでの通りのやり方ではうまくいかないこともある。
こんな時は積極的にわが道を開くしかない。
砂時計を逆さにした時、嬉しそうに勢いよく砂が落ちる、あのイメージで、常識をひっくり返してみよう、という魂胆。
私の強気には、それなりの年季が入っている。
挫折、屈折、骨折、数々の曲がり角を潜った結果。
だから年齢だけじゃないのよ。
私を産んでくれた両親が生きた分も、私のキャリアに引き継げば、鬼に金棒。
生きにくさを感じる時、先が見えなくて悩む時、あなたの役立つ虎の巻きになってくれることを祈って、私なりの経験を20のヒントに綴ってみた。
●「さ・か・さ」のスタートラインは「20歳」。
私が20歳になった時、母はこう言った。
「間違ってもこの男についていくわ、なんて言わないでね」
女がひとりで生きることがまだ普通じゃなかったはずの、大正生まれの人から、こんなことを言われるなんて、さすがの私もびっくりした。
(※中略)
その私に恋人ができた時、私は「家を出て、彼と暮らします」と母に言った。
すると、「そう、それなら今着ている服は全部脱いでいってね。
私が作った服なんだから」と答えが返ってきた。
ちょうど季節は冬。
何だが服を脱げ、と言われても、と困惑した私は、家出する気力を一気に失しなって、あっさりその家出計画を諦めた。
(※中略)
あらゆる時に想定をひっくり返す母の言葉の力に、私はいつの間にか、結婚するにしても、しないにしても、ひとりで生きていく、そんな覚悟を決めさせられていた。
でも、今になって母が言っていた意味はよくわかる。
人の命は、自分の力で生きている時に、いちばん輝く。
誰かに頼って生きていくのでは楽しくないし、力が湧かない。
どんなに人を愛しても、人間最後はひとりで暮らすことになる。
命を輝かせるためには、ひとりで生きる力を身に付けないといけない。
(中略)
人生は積木のように、高く積んで限界に達していくものじゃない。
何度もゼロから始め、無限に繰り返す。
それは例えるなら畑のよう。
種をまけば次々に花が咲き、実がなり、また種をつける。
過去の記憶は畑に残りつつ、循環する。
そんな循環に夢中になって畑をただひたすら耕して、今がある。
何かを残そうなんて思っていなかったけれど、いつの間にか思い出がいっぱい。
ひとりだっていいや、って思っていたら、友だちがいっぱい。
生きることは何て面白いんだろう。
思い切り吐き出して、いっぱい吸って、せっせと生きる!
もうそれで十分。
(「はじめに」より抜粋)
【目次】
●プロローグ ようこそ「さ・か・さ」の学校へ
1 困った時はまず笑ってしまおう
・私の大発明! ?? 「脳を騙す」技術
・怒りを感じた時もよく笑おう
・思い切り泣くのも悪くない
・自分を味わい尽くす
2 相手の話を黙って聞かない
・この人、私の話を本当に聞いているのかしら?
・お客さんが気持ちを表現してくれる加藤登紀子のコンサート
・「ひとりごと」もまたよし!
3 さっき言ったことと反対のことを平気で言おう
・自分の心に正直でいられるために
・「振り子主義」が人の心を動かす
・揺れながら、どんどんよくなっていく音楽
・「揺れる心」を認めることは、自分自身への「許し」につながる
4 暇があったら脳と遊ぼう
・予想外のことが起こると、脳はワクワクする
・小さな達成感を積み重ねる
・遊びを極めると仕事になる!
5 知らない人とどんどん喋ろう
・心が動いていなければ、出会いを捉えられない!
・生きるということは、止まらないこと
・森繁久彌さんとの不思議な「えにし」
・若いアーティストとの出会いと直感
・人の視線を感じる力
6 危ない橋を渡ろう
・異国で男の子が見せてくれた美しい光景 29
・明治通りでヒッチハイク、通天閣でも
7 SOSを出す時は、元気よく笑顔で!
・悲しそうなSOSには、人は寄ってこない
・ポジティブな言葉を発することで、実際にそうなっていく
8 言葉は猫にも通じる
・語りかける時は、相手を信じること
・どこにいても「今、ここ」に自分を合わせる
9 「No」が創造の始まり
・勝手にダメ出ししちゃダメなの?
・ぶつかると夜光虫のように光り出す
10 いちばんつらそうな人のそばにいよう
・「あの時のライブを見て、死ぬのをやめました」
・若者たちに「未来は真っ暗」と伝えた真意
●インタールード
思い切りプライベート
11 書を捨て野に出よう
・自然は曲線に満ちている
・フジロックが愛される理由
・自分の中の能力を眠らせたままにしておかない
12 バラつきが面白い
・自分の畑でできたものを食べる喜び
・バラつきが世界を広げる
・学歴が人生の選択を狭める
13 仕事をする時こそお酒を飲もう
・人間は他の生き物にくらべてややこし過ぎる!
・お酒じゃないものに酔ってもよい
・幸せな飲み方をしよう
・走り続けるより、たまに休む方が遠くまで行ける
14 急いでいる時はちゃんと急ごう
・「急がば回れ」って言っている場合じゃない時がある
・気が付けば3時間ぶっ通しで練習
15 好きなものを人にあげよう。
恋人も!
・恋人とは、人にあげちゃえるくらいの関係が理想
・人が感じていることは瞬間の中にしかなく、形にはできない
・嫉妬の感情を手放す
16 らしく生きない
・世間の「らしさ」の期待をかわすことで、自分の望む生き方を選択できる
・子育てで考えた「らしさ」について
・「夜は寝るとは限らないでしょ」
17 素晴らしい嘘をつこう
・夫婦そろって「嘘」をついた
・社会的な「固定観念」にとらわれると苦しくなる
・「絶対許しちゃだめ」という外圧で決めない
18 1日に一度は変な顔をしよう
・人に見せられない「顔ヨガ」の顔
・自分を可愛がれるのは自分だけ
19 自分の流儀を人に押し付けよう
・どうせ誰もマネしない加藤登紀子の流儀
・午後2時の男
20 最後はひとり 自分の力で生きよう
・みんなで瞬間を生きている
・自分のものさしで「幸せ」を決めればいい
【著者略歴】
1965年、東京大学在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。
1969年「ひとり寝の子守唄」、1971年「知床旅情」ではミリオンセラーとなりレコード大賞歌唱賞受賞。
以後、80枚以上のアルバムと多くのヒット曲を世に送り出す。
国内コンサートのみならず、1988年、90年N.Y.カーネギーホール公演をはじめ、世界各地でコンサートを行い1992年、芸術文化活動における功績に対してフランス政府からシュバリエ勲章を授けられた。
年末恒例の日本酒を飲みながら歌う「ほろ酔いコンサート」は50年以上も続く。
近年は、FUJI ROCK FESTIVALに毎年出演し、世代やジャンルの垣根を超え観客を魅了し続けている。
歌手活動以外では女優として映画『居酒屋兆治』(1983年)に高倉健の女房役として出演。
宮崎駿監督のスタジオジブリ・アニメ映画『紅の豚』(1992年)では声優としてマダム・ジーナ役を演じた。
獄中結婚した学生運動の闘士・藤本敏夫(2002年死去)との間に3人の子がおり、孫は7人。
次女Yaeは歌手。