商品説明
日本史
【内容紹介】
江戸時代、武士は家名と家紋で自らを表したが、家名の名乗りを許されない商人や職人は店の名称である屋号と店の紋章である暖簾で自らを表した。
暖簾紋は商家の入口に下げられた暖簾に染め抜かれた紋章のことで、図柄も意味合いも家紋とほぼ同じであると言っていい。
広告宣伝手段のあまり多くない時代、屋号と暖簾紋は現在よりはるかに重要だった。
転じて、暖簾という言葉は店主や店の信用を表すようにもなった。
ドラマには「暖簾にかけて……」という台詞があるように暖簾は物理的な存在というより、その店が存在を知られ、信用されていること、さらに言えばその背景にある文化であり、ブランド力とも言えるだろう。
本書は「屋号」と「暖簾紋」の生まれた歴史的経緯にスポットをあて、それらができあがった背景や変化していった経緯を知ることで、創業者の想い、暖簾経営哲学、各企業がどのように時代に寄り添い生き抜いたかを調べたものである。
家紋に比べ暖簾紋を研究した書物は少なく、詳細を知るのは難しいのだが江戸後期から明治にかけて、各地で商家の案内本が作られていて、暖簾紋も多く掲出されている。
それらから27、702点を採取し分類した。
それら企業情報は創業ストーリーになっており、興味深い歴史物語である。
【目次】
はじめに 商人の信用を表した「暖簾」という価値観
第一章 暖簾紋の成り立ちと江戸時代の買物案内に見る全体像
第二章 大企業グループと百貨店は暖簾紋を重視した
第三章 商人に人気の山形紋と曲尺紋
第四章 もっとも種類が多い植物の紋章
第五章 鳥、昆虫、伝説の霊獣まで、幅広い動物の紋章
第六章 自然を敬う紋章、霊験を願う文様、器物や建物の紋章
第七章 特性が付加された紋章、文字を使った紋章
第八章 暖簾分けで変化していく紋章
索引
【著者略歴】
1950年山口県生。
法政大学卒業。
出版社勤務後、編集プロダクションを設立し『わたしの藤沢周平』(文春文庫)をはじめ、多くの出版物、P R 誌など広報制作物の編集・執筆を行っている。
また大手銀行系シンクタンクのビジネス誌を編集統括し、数百社の優良中堅企業を取材・執筆する。
社史の執筆も多く、『太陽ホールディングス60年史』では日本経営史研究所主催の優秀会社史賞、『ニチバン100年史』では全国カタログ展銀賞を受賞。
家紋では『家紋の本』(宝島社)を編集統括した。