商品説明
日本エッセイ・随筆
【内容紹介】
森?外の旧居「観潮楼」の跡地(文京区千駄木)は現在、文京区立森?外記念館として生まれ変わっている。
本書では、同記念館に収まる?外の遺品が、歴史の荒波に翻弄された壮絶なドラマの果てに現存していることを明らかにする。
本書の主人公・森於菟(おと)は、森?外と最初の妻との間に長男として生まれた。
於菟は東京帝大医科大学医学部助教授を経て、台北帝大医学部教授、医学部長を勤め、戦後は東邦大学医学部教授・部長を務める。
医学研究のかたわら多くの随筆を執筆。
台湾での於菟は、日本人台湾人の分け隔てなく人々と平らに接し、台湾医学の発展に多大な貢献を果たした。
戦後、台湾からの引き揚げ時、於菟は?外の遺品は台湾に置いたまま、わが身ひとつで帰国せざるを得なかった。
本書では、於菟の無念を受け、国民党の支配下、決死の覚悟で遺品送還に従事した台湾の人々を活写する。
【目次】
プロローグ『天寵』の画家・宮芳平の絵
第一章森於菟の孤独
第二章新天地、台湾へ
第三章観潮楼消失〜台湾の於菟(1)〜
第四章「後端」に生きて〜台湾の於菟(2)〜
第五章敗戦前後〜台湾の於菟(3)〜
第六章森於菟の帰国
第七章台湾に残された?外の遺品
第八章時はめぐり〜最後の遺品返還〜
エピローグ2023年12月・台湾
【著者略歴】
作家。
1956年生まれ。
東京大学文学部国文学科卒。
1980年、NHK入局。
ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。
2002年に独立し、英国を拠点に文筆の道に入る。
2009年に帰国。
著書『吾輩はロンドンである』(文藝春秋)、『スコットランドの漱石』(文春新書)、『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』『わたしの歌を、あなたに〜柳兼子・絶唱の朝鮮〜』(ともに河出書房新社)、第35回和辻哲郎文化賞を受賞した『生命の谺川端康成と「特攻」』(現代書館)など。