商品説明
歴史全般
【内容紹介】
【「序」(山本英史先生)より】(抜粋)
『天台治略』は齢十九で進士に合格したエリート官僚である戴兆佳がみずから望んでこのような土地にあえて赴任し、その行政手腕をいかんなく発揮したことで一時的にせよ地域に安定をもたらした結果、上司のみならず、地域住民からも高い評価を得た地方政治の記録である。
喜多三佳さんは中国法制史の専門家であり、これまで清代の地方行政や裁判のあり方に関心を抱いてこられた。
そのため『天台治略』にいち早く注目され、みずからの研究に活用されてきた。
そしてこのたび一九九一年以来、大学の紀要に連載されてきた訳注を改めて一冊の書にまとめられた。
【『天台治略』の構成】
「序文」:著者の自序を含む、8つの序文
「詳文」:上司への報告書・申請書
〔義倉の設立・戦艦建造のための物資供出廃止・徴税方法の合理化・土地台帳の作成・清丈の方法と実施経過報告・保甲の編成・学宮の修築・学田の登録抹消・城壁の修復・災害救援米の拠出・税金の滞納・塩の専売・公共事業の為の寄付金・県学の昇格運動・来歴不明者の調査・盗賊と役所下役の結託・税の徴収 ほか〕
「?語」:裁判記録
〔恐喝事件・不動産をめぐる親族の争い・他人の墳墓横取り事件・養子縁組に関する紛争・開墾地をめぐる寺どうしの争い・水利権の有無判定事件・公共の祀田をかってに処分した事件・私塩販売事件・親族間の墳墓をめぐる争い・不動産の侵奪・結婚をめぐる紛争・養子縁組に関するもめごと ほか〕
「告示」:県民や下役への告示
〔着任に際しての下役たちへの戒め・科挙に関すること・正月の自警団巡回・不正な升の使用禁止・私娼の追放・婦人の寺社詣での禁止・僧侶の点呼の廃止・純度の低い銀鋳造流通の防止・編審に関する綱紀粛正及び協力依頼・租税完納の督促・保歇の禁止・徴税、不動産売買の際の追加払い・賭博の禁止 ほか〕
「啓」:上司や同僚への公的書簡
〔正月や端午の節句などの挨拶の手紙・新任の上司を歓迎する手紙・後任知県の到着を祝う手紙 ほか〕
「雑著」:上司への提言、災害救援の義捐の呼びかけなど
〔上司に送った10箇条の改革案・科挙の試験場における注意・城隍神への祭文 ほか〕
「呈批」:上申書や訴状に対する回答
「跋文」:康煕版から光緒版までの5つの跋文
【著者略歴】
【主要目次】
天台治略訳注 上
口 絵/序(山本英史)/『天台治略』解題/凡 例
天台治略訳注
序 文/注
巻之一 詳文 上
一件詳陳建立義倉積穀備荒等事/一件戦船賠累実甚窮員困苦難堪瀝陳?末?恩垂鑑事/前事(一件再
詳戦?物料実不能採?事)/一件?請転詳勒石永除修造戦?之苦累恩?三台功垂万世事ほか/注
巻之二 詳文 下
一件? 憲推広 皇仁沢遍窮黎恩垂不朽事/一件再叩 憲恩速飭募頂等事/前事(一件再乞援例転
詳事)/一件?請恩准策鳩群力建造駐防公廨保固地方事ほか/注
巻之三 ? 語
一件騙拐売良等事(一件借端図詐事)/一件?逐滅祀事(一件帰宗全祀事)/一件掘塚毀坊等事(一
件謀墳餌買事)/一件佃売主田等事(一件希図罩?事)/一件異姓乱宗等事ほか/注
巻之四 告示 一
一件厳飭堂規以一法守事 /一件設立義学以育人材以興教化事/一件会課事/一件会課事(一件会課
諸生事)/一件会課文武儒童事/一件会課儒童事ほか/注
天台治略訳注 下
巻之五 告示 二
一件清査絶戸糧産以除錮弊事/一件編審届期特行諮諏利弊以裨益国計民生事/一件禁革編審?官一切
陋規以甦民困事/一件編審重務開誠布告奉公守法共保身家事ほか/注
巻之六 告示 三
一件厳禁売休買休以申 功令以正風化事/一件場期伊邇特行暁諭停催挙子名下銭糧以襄盛典以弘作養
事/一件暁諭完糧花戸分別多寡傾銷便民輸納事/一件暁諭禁革戸首事ほか/注
巻之七 告示 四
一件示諭放告日期事/一件厳飭代書事/一件厳禁?訟以安民生事/一件暁諭詞訟票給原告自拘事/一
件申厳招揺撞歳?謀請託之禁以粛法紀共保身家事/一件遵例暁諭停訟事ほか/注
巻之八 啓
賀総督元日大啓/上撫台朱請発瓊台課士録序文?送張斉二生入敷文書院啓/迎撫院屠大啓/賀学院馬
大啓/上学台馬副啓/賀黄岩林鎮台年節大啓/賀黄岩林鎮台午節啓/賀台協蔡鎮台午節啓ほか/注
巻之九 雑 著
両院条陳摺稿(条陳両院議稿)/科場条議/社倉記/経界図説/到任告城隍文/飲氷堂記/丈量告城
隍文/陞任辞城隍文/親催紳衿完糧説/催取紳衿供給城工引/勧紳衿捐粟賑済引ほか/注
巻之十 呈 批
一件叩鳴杜累事〈餅匠陸遠等〉/一件祀税認澆祀産応輪懇恩批照事〈陳従宛〉/一件華頂山面壁居僧
曼雲因僧自明放火干連具稟求豁事/一件盗?殴命事〈彭元卿〉ほか/注
跋 文
(1)康煕版の跋文 (2)嘉慶版の跋文(a) (3)嘉慶版の跋文(b)
(4)嘉慶版の跋文(c) (5)道光版1の跋文 (6)道光版2の跋文 注
あとがき/索 引(書名索引・人名索引・語彙索引)