商品説明
社会
【内容紹介】
■スマホやPCの画面への集中時間はわずか「47秒」、1日の平均メールチェック回数は「77回」、作業中断後、元のタスクに戻るための集中を回復するための時間は「25分」……。
仕事や生活を便利にするためのデジタルデバイスに、私たちは逆に苦しめられている? デジタルツールがもたらす注意散漫に悩みつつも、デバイスなしでは生きられない現代人に贈る、デジタル時代に適した「集中力」を高め、心身のバランスを保つ方法。
■私たちの仕事や生活はもはやデジタルデバイスなしに成立しえません。
スマートフォンやPC、ZoomやTeamsなどのデジタルツールは物理的な距離の壁を取り払いリモートワークを普及させるなど、私たちに多大な利便性と効率性をもたらしました。
しかしその一方で、絶え間なく届くポップアップ通知、対処すべきメッセージやメールの急増、人間の本能に訴えかける巧みな動画編などによって、「注意散漫になり、集中力が長続きしない」「マルチタスクが増えてミスが生じやすくなった」「不安や不眠などの症状増えた」などの新たな悩みが生まれています。
■本来私たちの生活を豊かにし、能力を拡張するために創られたはずのデジタルツールが、深刻な注意散漫の原因になってしまったいま、私たちはいかにして集中力を回復し、心の健康を保つことができるのでしょうか。
本書では、デジタルデバイスが人間の集中力に与える影響を長年調査・研究し続けてきた気鋭の情報科学者が、現代の注意散漫の驚くべき現状を明らかにし、現代科学の最新成果と独自の実験結果をもとに、デジタルツールと共存しながら集中力を高め、精神のバランスを維持するための方法を紹介します。
■具体的には、「マルチタスクはなぜ生産性と心の健康に悪影響なのか?」「誠実さや楽観性などの個人の性格特性は、個人の集中力にどう影響するか?」「SNSやTikTok動画、フラッシュバナー広告などが注意散漫をなぜ増幅するのか?」などの疑問に丁寧に答えるほか、人間の本能に巧みに訴えるAIやアルゴリズムの知られざる仕組み、「没入」「慣れ」「退屈」「不満」という4象限によるデジタル時代ならではの独自の集中力の分類方法などを示します。
■さらに、まとめとなる最終部「集中・リズム・バランスを整える」では、デバイスの誘惑を断ち切り集中を持続するための「主体性」の育み方、デバイスやアプリを活用した「認知リソース」の高め方など、さまざまなデジタルツールと共存しながら、心身の健康を保ち、パフォーマンスを最大化させる具体的な実践方法も解説。
デジタル時代に生きる私たちに役立つ情報とヒントに満ちた一冊です。
【目次】
はじめに 「集中」の神話を打ち破る
デバイスのせいで集中できない/デジタル世界のパラドックス/デジタル社会と私たちの集中/注意散漫に関する現代の神話/「生産性」から「幸福」へ
■I 集 中 の 構 造 ■
第1章 限りある認知リソース
私たちの集中と行動/集中のコントロールは難しい/集中のネットワーク/限りある認知リソース/持続的集中と「動的集中」
第2章 集中をめぐる争い│集中をコントロールできないとき/目標達成まで集中を持続させる/集中の罠/集中の対象の選び方
第3章 集中のタイプを理解する
集中をめぐる言葉/とらえにくい「フロー」/集中状態の理論的枠組み/1日の集中状態の移り変わり/集中のリズムを知る/人はなぜ注意散漫になるのか/「フロー」より「リズム」
第4章 マルチタスクの真実
マルチタスクとは何か/マルチタスクの2つの視点/「生きた実験室」を作る/集中時間はますます短くなっている/47秒間の集中/仕事モードと休憩モード/デスクワークと集中時間の短縮/異なる仕事間の集中の切り替え/中断した仕事を再開するためのコスト/マルチタスクの悪影響/幼児、Z世代とマルチタスク
第5章 絶え間ない中断がもたらすもの
中断したタスクは記憶に残りやすい/「自己中断」と外部からの中断/中断に伴うコスト/1日74回のメールチェック/メールゾンビから逃げる/「女性のほうが集中度が高い」は本当か/「主体性」で集中をコントロールする
■II 集 中 を 中 断 さ せ る さ ま ざ ま な 力■
第6章 インターネットの普及と集中力の低下
インターネットの黎明期/楽しい連想/インターネットによる「マインドワンダリング」/プライミングだらけのインターネット/インターネットと私たちの集中
第7章 AIとアルゴリズムの影響
注意散漫に値段がつくとき/「いいね」でわかる性格特性/アルゴリズムは本能に訴える/TikTokの罠/Instagramから逃れられない/アルゴリズムの強み
第8章 デジタルな交流の世界
集中は社会的影響を受けやすい/内集団に向けられる注意/インターネット上の自己イメージを管理する/社会関係資本の経済/社会的な力による注意散漫/オンラインでの人間関係
第9章 パーソナリティは自制にどう影響するか
パーソナリティとインターネット利用の関係/神経症傾向と衝動/誠実な人はメールに過剰反応してしまう/パーソナリティは注意散漫にどう影響するか/睡眠不足の弊害/デジタル時代の自制とパーソナリティの関係
第10章 デバイスは幸福感を下げるのか
単純な活動の心地よさ/感情と集中の意外な関係/仕事と幸福感/「努力する集中」と「努力しない集中」/Facebookとリアルの交流、幸福度が高いのは?/マルチタスクはネガティブな感情を生む/単純な活動が生産性を上げる
第11章 メディアによる集中の条件づけ
1日10時間のスクリーンタイム/カット割りの進化と集中力/ジャンプカットとYouTube/ノンリニア編集とカオス編集/コマーシャルも短く/デジタル世界の「スナック文化」/メディアが集中に与える効果/メディアが集中を妨げる
■III 集 中 、リ ズ ム 、バ ラ ン ス を 整 え る ■
第12章 自由意志、主体性、集中
意識的行動、自動的反応、自由意志/デジタルな行動で「主体性」を育てる/奇妙で複雑な相互関係/「主体性」の力で前進する
第13章 「主体性」で心理的バランスを整える
「主体性」で集中力をコントロールする/デジタル行動の「メタ認識」/デジタルツールに触れる前に/デジタル行動を自制する/内省と修正行動/バランスのとれた1日を計画する/目標を選んで心のバランスを維持する/集中の神話を打ち破る
第14章 デジタル時代の集中力を育む
デジタルデトックスの先へ/AIと私たちの集中/心理的バランスを高める技術設計/現実世界に集中する/職場環境の未来と私たちの集中/自分に合ったデジタル世界を創造する
【著者略歴】
米カリフォルニア大学アーバイン校総長特任教授
カリフォルニア大学アーバイン校総長特任教授。
マイクロソフトリサーチ上級客員研究員。
コロンビア大学心理学博士号取得。
専門は情報科学。
デジタルデバイスが人間に与える影響を研究し、200本以上の論文を発表している。
テクノロジーや公衆衛生などに関する優れた学術研究に与えられる「グーグル・リサーチ・アワード」を2度受賞。
本書が初の著書となる。