商品説明
生物科学・一般生物学
【内容紹介】
昭和9年(1934)誠文堂新光社から刊行された『日本植物圖説集』(「牧野植物學全集」収録)のオリジナル普及版です。本書は、26歳から38歳にかけて牧野富太郎が石版印刷、銅版印刷によって描出した植物画の最高傑作群「194図版」を完全収録します。
本書に収録された「原本」は、『日本植物志圖篇』(78図版)、『新撰日本植物圖説』(100図版)、『大日本植物志』(16図版)から構成されます。
『日本植物志圖篇』(敬業社刊)は、明治21年(1888年、牧野26歳)から「第1巻第1集」の刊行が分冊形式で始まりました。以後、4年間に及び集中的に発刊され、明治24年(1886年、牧野29歳)の「第1巻第11集」の刊行をもって中断しました。以後、昭和9年(1934年、牧野72歳)に、最後の「第1巻第12集」が増補されました。
本書には、全12冊を合算した「78図版・解説」が収載され、同図篇中、最高傑作との評価が高い「コモチマンネングサ」「ハナムグラ」「ムジナモ」を収録します。
『新撰日本植物圖説』(敬業社刊)は、明治32年(1899年、牧野37歳)から「第1巻第1集」の刊行が分冊形式で始まりました。以後、4年間に及び集中的に発刊され、明治36年(1903年、牧野41歳)の「第2巻第8集」をもって中断しました。「第1巻」は、「第1集〜第12集」の12分冊、「第2巻」は、「第1集〜第8集」の8分冊として順次刊行され、本書には、「全20分冊」を合算した「100図版・解説」が収載されています。
本書に収録された植物画は「牧野植物画の最高傑作」と評されることが多く、とくに「クラガリシダ」について、「まちがいなく牧野の植物画中、植物学の立場からみた最高傑作である」(大場秀章:東京大学名誉教授「牧野富太郎伝に向けた覚書き」)という評言があります。
『大日本植物志』(東京帝國大学)は、明治33年(1900年、牧野38歳)から「第1巻第1集」の刊行が分冊形式で始まり、以後、12年間に及び刊行され、明治44年(1911年、牧野49歳)の「第1巻第4集」をもって中断しました。本書には、「第1巻第1集」に収録された「16図版・解説」が収載され、「ヤマザクラ」「ヒガンバナ」「オホヤマザクラ」など、円熟期を迎えた牧野屈指の傑作群を収録します。
牧野の「自叙伝」を初めとする随想集の記述によると、晩年の牧野がもっとも愛着を感じ、自信をもっていた植物学者としての「仕事」こそ、本書が収録する『日本植物志圖篇』、『新撰日本植物圖説』、『大日本植物志』の植物画や解説文にあったことが分かります。
【目次】
目 次
日本植物志圖篇 第一巻/12p
第一集 第1版〜第6版(明治21年11月12日)/11p〜16p
第1版・ジヤウラウホトトギス/11p.第2版・しゝんらん/12p.第3版・つるぎきやう/13p.第4版・みづおとぎり/14p.第5版・うめばちさう/15p.第6版・ヒメドコロ/16p
第二集 第7版〜第13版(明治21年12月5日)/19p〜25p
第7版・ノヂアフイ/19p.第8版・ひしもどき/20p.第9版・スゞメノハコベ/21p.第10版・スナゴセウ/22p.第11版・スナゴセウ/23p.第12版・タカネマンネングサ/24p.第13版・きだちにんどう/25p
第三集 第14版〜第21版(明治22年1月8日)/29p〜21p
第14版・さるめんえびね/29p.第15版・えびね/30p.第16版・かしのきらん/31p.第17版・ムカゴトンボ/32p.第18版・さぎさう/33p.第19版・まめらん/34p.第20版・むぎらん/35p.第21版・ヒメケイラン/36p
第四集 第22版〜第27版(明治22年3月13日)/40p〜45p
第22版・やまのいも/40p.第23版・にがゞしゆう/41p.第24版・おにどころ/42p.第25版・たちどころ/43p.第26版・きくばどころ/44p.第27版・モミヂドコロ/45p
第五集 第28版〜第33版(明治23年1月25日)/49p〜54p
第28版・まつばらん/49p.第29版・みゝかきぐさ/50p.第30版・ほざきのみゝかきぐさ/51p.第31版・うりくさ/52p.第32版・あぜたうがらし/53p.第33版・あづまつめくさ/54p
第六集 第34版〜第39版(明治23年3月25日)/58p〜65p
第34版・ひめのぼたん/58p.第35版・ヒナノシヤクヂヤウ/59p.第36版・ベニシユスラン/60p.第37版イ・アケボノシユスラン/61p.第37版ロ・アケボノシユスラン/62p.第38版イ・びろうどらん/63p.第38版ロ・びろうどらん/64p.第39版・みやまうづら/65p
第七集 第40版〜第45版(明治24年4月6日)/73p〜79p
第40版イ・むかでらん/73p.第40版ロ・むかでらん/74p.第41版・やうらくらん/75p.第42版・ミヤマムギラン/76p.第43版・コホロギラン/77p.第44版・スゞメノタウガラシ/78p.第45版・ウチハドコロ/79p
第八集 第46版〜第51版(明治24年5月5日)/85p〜90p
第46版・きばなのせきこく/85p.第47版・こくらん/86p.第48版・ノヂギク/87p.第49版・チヤボツメレンゲ/88p.第50版・たいとごめ/89p.第51版・めのまんねんぐさ/90p
第九集 第52版〜第57版(明治24年6月5日)/97p〜102p
第52版・テバコマンテマ/97p.第53版・イヒヌマムカゴ/98p.第54版・みづひきも/99p.第55版・こばのひるむしろ/100p.第56版・サゝエビモ/101p.第57版・ひろはのえびも/102p
第十集 第58版〜第63版(明治24年7月13日)/109p〜114p
第58版・エキサイゼリ/109p.第59版・おもひぐさ/110p.第60版・コモチマンネングサ/111p.第61版・ヒメキリンサウ/112p.第62版・きんばいざゝ/113p.第63版・こきんばいざゝ/114p
第十一集 第64版〜第69版(明治24年10月9日)/120p〜125p
第64版・ひしもどき/120p.第65版・アヲホゝヅキ/121p.第66版・シノゝメサウ/122p.第67版・しはいすみれ/123p.第68版・ウスユキムグラ/124p.第69版・ハナムグラ/125p
第十二集 第70版〜第75版(昭和9年9月15日)/129p〜134p
第70版・ムジナモ/129p.第71版・オヤリハグマ/130p.第72版・トリガタハンシヨウヅル/131p.第73版・さゝばらん/132p.第74版・マルバノサハタウガラシ/133p.第75版・タキミシダ/134p
新撰日本植物圖説(第一巻)/154p
第一集 第1図版〜第5図版(明治32年1月20日)/151p〜162p
第1図版・こせうのき/151p.第2図版・みつまた/154p.第3図版・ごまくさ/157p.第4図版・はこねさう/159p.第5図版・くるましだ/162p
第二集 第6図版〜第10図版(明治32年3月25日)/164p〜176p
第6図版・あかやしほ/164p.第7図版・ほていしだ/167p.第8図版・みやまのきしのぶ/170p.第9図版・のきしのぶ/173p.第10図版・ひめのきしのぶ/176p
第三集 第11図版〜第15図版(明治32年6月8日)/179p〜191p
第11図版・くもらん/179p.第12図版・みづすぎな/183p.第13図版・からすきばさんきらい/186p.第14図版・うちはごけ/189p.第15図版・あをほらごけ/191p
第四集 第16図版〜第20図版(明治32年7月30日)/194p〜206p
第16図版・こけほらごけ/194p.第17図版・こけしのぶ/197p.第18図版・おほこけしのぶ/200p.第19図版・きよすみこけしのぶ/203p.第20図版・かうやこけしのぶ/206p
第五集 第21図版〜第25図版(明治32年11月20日)/209p〜221p
第21図版・こがねしのぶ/209p.第22図版・つるほらごけ/212p.第23図版・ほそばこけしのぶ/215p.第24図版・しゝらん/218p.第25図版・へらしだ/221p
第六集 第26図版〜第30図版(明治32年12月10日)/224p〜236p
第26図版・たきしみだ/224p.第27図版・まめづた/227p.第28図版・みつでうらぼし/230p.第29図版・たかのはうらぼし/233p.第30図版・えびらしだ/236p
第七集 第31図版〜第35図版(明治32年12月29日)/239p〜251p
第31図版・みやまわらび/239p.第32図版・あをねかづら/242p.第33図版・やのねしだ/245p.第34図版・いはやなぎしだ/248p.第35図版・さじらん/251p
第八集 第36図版〜第40図版(明治33年9月1日)/254p〜268p
第36図版・ほらしのぶ/254p.第37図版・はまほらしのぶ/257p.第38図版・むじなも/260p.第39図版・こほろぎらん/264p.第40図版・かしのきらん/268p
第九集 第41図版〜第45図版(明治33年11月3日)/271p〜284p
第41図版・おやりはぐま/271p.第42図版・えだうちほんぐうしだ/275p.第43図版・めやぶそてつ/278p.第44図版・つるでんだ/281p.第45図版・ゐのもとさう/284p
第十集 第46図版〜第50図版(明治34年2月25日)/287p〜301p
第46図版甲乙・いはやしだ/287p〜288p.第47図版・からくさしだ/292p.第48図版・ひとつば/295p.第49図版・あまくさしだ/298p.第50図版・はやましだ/301p
第十一集 第51図版〜第55図版(明治34年4月20日)/304p〜314p
第51〜第52図版・あついた/304p〜305p.第53〜第54図版・ひろばあついた/309p〜310p.第55図版・まつばらん/314p
第十二集 第56図版〜第60図版(明治34年9月28日)/317p〜324p
第56〜第57〜第58図版・くらがりしだ/317p〜318p〜319p.第59〜第60図版・なかみしゝらん/323p〜324p
新撰日本植物圖説(第二巻)/327p
第一集 第61図版〜第65図版(明治33年2月18日)/327p〜339p
第61図版・あをがねしだ/327p.第62図版・こばのひのきしだ/330p.第63図版・ときはとらのを/333p.第64図版・ときはしだ/336p.第65図版・ひのきしだ/339p
第二集 第66図版〜第70図版(明治34年6月30日)/342p〜352p
第66図版・やはずまんねんぐさ/342p.第67図版・しのゝめさう/345p.第68図版・あづまつめくさ/348p.第69〜第70図版・みやまうらぼし/351p〜352p
第三集 第71図版〜第75図版(明治35年3月10日)/355p〜364p
第71図版・さださう/355p.第72〜第73図版・さはたうがらし/358p〜359p.第74図版・まるばのさはたうがらし/362p.第75図版・ぢんちゃうげ/364p
第四集 第76図版〜第80図版(明治35年3月18日)/367p〜379p
第76図版・こくらん/367p.第77図版・さばのを/370p.第78図版・たちねこのめさう/373p.第79図版・おにどころ/376p.第80図版・なんばんぎせる/379p
第五集 第81図版〜第85図版<<再販>>(明治35年5月25日)/382p〜390p
第81〜第82図版・にががしゅう/382p〜383p.第83〜第84図版・かしゅういも/386p〜387p.第85図版・しはいすみれ/390p
第六集 第86図版〜第90図版(明治35年8月15日)/393p〜400p
第86図版・ひめのぼたん/393p.第87図版・ひめうらぼし/396p.第88〜第89〜第90図版・まるばまんねんぐさ/398p〜399p〜400p
第七集 第91図版〜第95図版(明治35年11月10日)/403p〜411p
第91図版・たうつばき/403p.第92図版・すゐせん/406p.第93〜第94〜第95図版・ながいも/409p〜410p〜411p
第八集 第96図版〜第100図版(明治36年7月25日)/414p〜420p
第96〜第97図版・だいさぎさう/414p〜415p.第98〜第99〜第100図版・つくしのきしのぶ/418p〜419p〜420p
大日本植物志(第一集)/438p
第1図版〜第3図版(明治33年2月25日)/429p〜434p
第1〜第2図版・やまざくら/429p〜430p.第3図版・あづましろかねさう/434p
第4図版〜第8図版(明治35年8月15日)/438p〜446p
第4〜第5図版・ちゃるめるさう/438p〜439p.第6〜第7〜第8図版・さくゆり/444p〜445p〜446p
第9図版〜第11図版(明治39年9月30日)/450p〜460p
第9図版・せいしくわ/450p.第10図版・ひがんばな/455p.第11図版・ぼうらん/460p
第12図版〜第16図版(明治44年2月28日)/468p〜482p
第12〜第13〜第14図版・もくれいし/468p〜469p〜470p.第15図版・おほやまざくら/475p.第16図版・ほていらん/482p
【著者略歴】
1862年(文久2年)土佐国佐川村(現、高知県高岡郡佐川町)の裕福な商家と酒造業を営む家に生まれる。三歳で父を、五歳で母を失い、祖母に育てられる。幼少時から植物に強い関心を示し、小学校を2年で中退、好きな植物採取に熱中する。19歳の時、初めて上京し博覧会を見る一方、書籍や顕微鏡を購入する。22歳の時(明治17年)に再び上京し、帝国大学理科大学(現、東京大学理学部)植物学教室に出入りし、文献・資料等の使用を許可される。自ら創刊に関わった「植物学雑誌」に新種ヤマトグサを発表し、日本人として初めて新種に学名をつける。94年間の生涯で収集した標本は40万枚に及び、新種を初め1500種以上の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれる。