単行本(実用) 社会 マンガでわかる 日本の食の危機 / 鈴木宣弘 / マンガ・デザイナーズ・ラボ

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管理番号: BO3979431
発売日: 2023/06/20
メーカー: 方丈社

商品説明

社会
【内容紹介】
「この経済大国・日本で飢餓なんてありえない!」「日本ほど、食の安全が大切にされている国はない」あなたはそうお思いでしょうか。しかし、残念ながらどちらも完全な間違いです。今、日本は食に関してかつてないほど「本質的な危機」に直面しています。危機には、「量」と「質」の両面があります。「量の危機」とは、文字通り日本人が生存を保てるだけの食品、食料品を確保できず、飢えるという意味です。食料自給率は、先進国中最低レベルの38%と言われますが、実態ははるかに厳しく、実質10%程度です。それは、大豆、小麦等の穀類や野菜等の種、そして化学肥料の原料、家畜の飼料などのほとんどを輸入に依存しているからです。
世界では、「食料は最も安上がりな武器」として認識され、各国とも自国民への食料供給を最優先課題として厳しく戦略的に動くのが食料安全保障の基本です。しかし、日本はこの部分が完全にないがしろにされ、「自動車輸出」の枠を確保するために、食と農業を人質として生殺与奪の権を明け渡してきてしまいました。「自分で作ることはない、お金を出して買えば済むのだから」と、勘違いしていたのです。自国民の命を守る根幹を他国に委ねるという矛盾が「異常気象」「コロナ禍」「中国の食料爆買い」「ロシア、ウクライナ戦争」というクワトロ・ショックによって最高潮に達しているのが現状です。
一方、「質の危機」も深刻です。日本は他国からの干渉で農薬の残留基準値をどんどん緩和し、酪農での成長ホルモン規制や遺伝子組み換え作物、ゲノム編集作物に対する規制も輸入品に関してはザルで、最も厳格なEU圏や意識の高まっている北米、豪州、そして中国などより危険な食品を食べているのです。そして、規制を厳しくした国に輸出できなくなった世界中の食品は、全て日本に回ってくる。つまり農薬漬けや遺伝子組み換え食品の最終処分場のように扱われています。少子化やがん死の増大に食の質の低下が影響しているのではないかとの声もあり、次世代、次々世代に対する責任が問われています。
本書のストーリーは、稲垣家の家族たちと鈴木教授との関係の中で進行します。主な登場人物は、母親=美穂(主婦)、父親=大輔(スーパーマーケット勤務)、長男=修斗(農学部に通う学生、鈴木教授のファン)、長女=穂波(小学5年生)、美穂の伯父=松任谷角栄(近郊で専業農家をしている)、鈴木宣弘教授。日本に現実に迫っている食の「量」と「質」の危機に関して無知・無自覚だった美穂が、修斗の影響で次第に現実に気づき、学び始めることで、悩みつつ解決策を求めていく。その過程で鈴木教授とも知遇を得、やがて家族全員に大きな変化が起きるようになります。
マンガのストーリーは9話で展開し、それぞれのテーマに合わせた内容を、鈴木教授とマンガのキャラクターのやりとりで補足する構成。現在の行政の中で苦しんでいる酪農家の方への取材なども行い、日本が直面している課題をリアルに伝える形になっています。深刻な現実を変えることができるのは、読者であるあなただけです。
【目次】
1章 母さん、食料危機はもう始まっているんだよ
2章 まさか、日本の食は「質」も「量」も危ないなんて!
3章 食べたもので身体はできている
4章 農家を本当に苦しめるものの正体
5章 食べ物の価格と価値……本当はどちらが高くつくのか?
6章 日本人の食卓は世界の危険な食物の最終処分場?
7章 「日本の酪農、ヤバいです!」……魂の叫びを聞け
8章 危機をチャンスに!……娘の笑顔で父が気づかされたこと
9章 地産地消……できることから一歩ずつ
【著者略歴】
東京大学大学院農学生命科学研究科教授。「食料安全保障推進財団」理事長。
1958年生まれ。三重県志摩市出身。自らも半農半漁の家で育つ。東京大学農学部卒業後、農林水産省に入省。15年ほど勤務した後、学界に転じ、九州大学農学部助教授、九州大学大学院農学研究員教授などを経て、2006年9月から現職。
1998年〜2005年夏期はコーネル大学客員助教授・教授。
著書は、『食の戦争』(文春新書)、『農業消滅』(平凡社新書)、『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社+α新書)等、多数。
食料安全保障の第一人者として、「日本の食と農の危機」を訴え、政策提言をするために、全国で講演活動を続けている。