商品説明
日本エッセイ・随筆
日本の問題は、「経済」と「環境」にある。そんなのは、コロナにならなくったって、スパコンを使わなくったって、虫を見ていればとっくにわかることだ。虫が生きにくい世のなかは、人間も生き物も生きにくい--。北海道育ち、イタリア暮らし。コロナ禍で一転、イタリアとの行き来が途絶え、日本生活を余儀なくされた根っからの虫好きヤマザキマリが、養老孟司に弟子入り。コロナ以前から箱根の養老昆虫館に足を運んだ2年間、話は虫を通じて見えてくる世界の複雑さ、気候変動とともに変わりゆく生態系、来るべきAIの世界、すっかり脳化が進み「戦時中と似ている」という、どん詰まりの日本を覆う空気。養老さんに訪れたまるの死と病。発覚する統計データ問題。はたして想像力と突破口はどこにある?世の中との「ズレ」を感じ続けるふたりが、その違和を一つひとつ解きながら、いつしか微視的スコープで文明の深奥までを眺め見る師弟対談。