商品説明
日本文学
『ミカゲ食品は「スマイルコンプライアンス」の精神で、信頼回復に努めてまいります』異物混入騒動への社長の発言がSNSで炎上した翌日、広報部で働く35歳の多治見勇吉を待っていたのは<スマイルコンプライアンス準備室>への異動辞令だった。実体のない「スマイルコンプライアンス」を形にしろというのだ。社長に忖度する役員の無茶振り、会議のための会議、意味のない資料作り。趣味のバンド活動を一番大切にしていた勇吉も、社長の肝いりの新設部署で仕事漬けの毎日を送ることに--そんなとき、バンドメンバーの余命が短いことを知らされる。「どうして自分はこんなに働いているのだろう」働くことの意味を探すうち、勇吉はどう生きるべきか考え始める。