商品説明
妖怪、怪異、化け物、あやかし。この世に存在する、徒人には見えぬもの、触れえぬもの。それを見て、触れて、それらと交渉したり、ときに人間のために彼らを排除したりする--それが昔から続く真魚寺の家業だ。そんな裔である千歳には、古い付き合いのある小説家がいる。青原灯--着流し姿に整った顔立ちをした青年だ。表向き、灯は千歳の従兄となっているが、それは真っ赤な嘘。灯は従兄でも何でもなく、幼い日に千歳が契約を結んだ妖怪なのだ。千歳の命が尽きるまで千歳を守り、その対価として、千歳の精気を少しずつ貰い受けるという契約だ。表面的には気安く親しい関係であっても、ヒトと怪異という存在は違う。異なる時の流れと世界で生きるふたりの絆は、やがて変質し始めてしまうもので……?