単行本(実用) 社会 新しい地域福祉の「かたち」をつくる / 伊藤葉子 / 川村岳人

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管理番号: BO4877643
発売日: 2024/10/29
メーカー: ミネルヴァ書房

商品説明

社会
【内容紹介】
地域福祉において重視されている5つのテーマ(コミュニティ・居住福祉・地域共生社会・地域包括ケア・専門職性)を、日本を含むアジアの事例を基に分析。
そして、経済の循環を踏まえた地域社会の再生方法、参加・協働・自主管理を重視した「支え合い」の枠組み、人口減少社会における地域包括ケアのあり方、「福祉コミュニティ」を創造する上でソーシャルワーカーなどの専門職が果たすべき役割と特に重視すべき支援対象を、ソーシャルインクルージョンを踏まえ考察。
実践から政策までを総合的に捉え、今後求められる新しい地域福祉の「かたち」を展望した一冊。
【目次】
まえがき
序 章 新しい地域福祉の「かたち」を構想する(野口定久)
1 日本型福祉社会論と「自助論」
2 私の研究方法--想いを「かたち(図形)」に
3 地域福祉の構成要素--福祉国家と市民社会の中で
4 自治体福祉の活動範囲の拡がり
5 これからの地域福祉の「かたち」
第I部 コミュニティ再生に向けた地域資源の展開
第1章 重層的支援体制の整備における地域拠点の意義--福祉コミュニティ形成の観点から(倉持香苗)
1 重層的支援体制の整備と「支え合い」
2 現代における福祉コミュニティ--地域拠点に焦点を当てて
3 地域生活課題を視野に入れた地域拠点の立ち上げと運営の実際--“まちの食堂”の事例から
4 重層的支援体制の整備における地域拠点設置の有用性
第2章 文化資源を基盤とした地域福祉の再考--生活文化を手がかりに(大井智香子)
1 「文化資源」への着目
2 地域福祉における社会資源
3 社会資源における文化資源の位置づけ
4 持続可能な地域社会の創造に不可欠な「文化資源」
第3章 過疎地域再生のための「共助のしくみ」の再構築--島根県隠岐郡海士町のコモンズ事例を基に(堅田知佐)
1 過疎地域再生のためのコモンズ理論の視点
2 地域資源の共有財(コモンズ)化で過疎地域の再生は可能か--島根県隠岐郡海士町の事例から
3 過疎地域再生のための「共助のしくみ」を促進するコモンズ
第4章 チベット牧畜民のこれまでとこれから--合作経済組織化におけるコモンズの変容(彭毛夏措)
1 誰がコモンズを維持するのか--生態移民に関する先行研究から
2 チベット牧畜業の変容--近代の国家体制変革の過程の中のコモンズ
3 21世紀におけるチベット牧畜業の動向--合作社による共同管理
4 合作経済組織化における新たな牧畜業の事例
5 合作経済組織の課題と必要な支援
第5章 地域循環型福祉経済の中の「地域住民」--地域福祉の政策化の議論に重ねて(橋川健祐)
1 地域循環型福祉経済とは何か
2 地域福祉の政策化と地域住民
3 経済活動と地域福祉
4 地域循環型福祉経済の中で「地域住民」を捉える
第II部 居住福祉の今日的課題--住まいをめぐる排除を中心に
第6章 居住困難な状況を当事者を含めた多職種連携で最適化する試み(長田和久)
1 居住改修が居住福祉に与える価値
2 持ち家の悲劇を持ち家の喜劇に変えるには
3 居住を安定させるために居住者が持つべき覚悟--公的支援にとらわれない自ら活動する居住改修
4 居住改修と定義できる事例--普遍化へのガイド
5 居住改修により居住困難を克服する方法
第7章 精神障がいのある人々が地域で生活するということ--精神障がいのある人々を対象とした政策変遷の中で(平澤恵美)
1 精神保健医療福祉の改革ビジョン後の制度の変遷と精神障がいのある人々を対象としたグループホームの現状
2 精神障がいのある人々の生活の場としてのグループホーム--「暮らす」を支えるグループホーム
3 「あるがままに生きる」を支えるソーシャルワーク
第8章 排除された空間を福祉コミュニティの拠点に--公営住宅団地から考える「共生」の創造(川村岳人)
1 空間における社会的排除と公営住宅団地
2 公営住宅団地におけるコミュニティ形成の課題
3 多様な人々が集う場としてのサロン
4 公営住宅団地における福祉コミュニティの成立要件
第9章 未来型包摂社会--災害にも対応しうる包摂社会を考える(野村恭代)
1 分断から包摂へ--コンフリクトとは
2 信頼とコンフリクト
3 未来型包摂社会
4 協働社会への志向
第III部 地域共生社会の創出と展開--専門領域と地域時空を超えて
第10章 公害被害者支援団体は地域共生社会をいかに担うことができるか(三好禎之)
1 問題・課題の背景
2 水俣病被害の概要
3 水俣病被害者と支援者による内発的発展
4 地域共生社会の創出
第11章 長期避難を余儀なくされた被災者の生活再建(丹波史紀)
1 災害時における生活再建とは
2 調査が示す長期化する避難生活
3 被災者の尊厳を回復する社会政策の必要性
第12章 賃金労働障害者の障害受容は、日常生活満足度に影響を及ぼすのか--自己効能感の媒介効果(鄭 逸教)
1 研究目的
2 理論的背景及び先行研究の検討
3 研究方法
4 研究結果
5 結論及び提言
第13章 社会福祉協議会による法人後見の普及に向けて--市区町村社会福祉協議会を対象とした実態調査から(鵜沼憲晴)
1 地域共生社会と権利擁護支援
2 本調査の概要
3 社協における法人後見の実態
4 法人後見の普及に向けた課題
5 本研究の成果と今後の展望
第14章 辺境地域でのコミュニティガバナンスにおける「三社連動」の発展経路(周 文棟)
1 中国のコミュニティ建設は「三社連動」の時期に入った
2 コミュニティガバナンスの「三社連動」の発展の現状--C市の事例から
3 C市におけるコミュニティガバナンスの「三社連動」モード
4 C市におけるコミュニティガバナンスの「三社連動」が抱える諸問題
第IV部 地域包括ケアの深化--人口減少・少子高齢社会に向き合う
第15章 中国の大都市における地域を基盤とした高齢期の生活支援システムの構築--北京市の取り組みを通して(羅 佳)
1 中国における人口高齢化の特徴
2 国家による一括保障から社会サービス化への変化
3 大都市の社区における「社区服務センター」の実践例--北京市西城区の取り組み
4 大都市の社区における重層的サービス供給拠点の実践例--北京市朝陽区の取り組み
5 地域を基盤とした高齢者向けサービスを包括的に提供できるのか--その機能と課題を検討する
第16章 中国都市部における「タイムバンク」養老モデルに関する研究(楊 澄源)
1 「タイムバンク」モデルと先行研究
2 高齢化人口に対処するための「タイムバンク」の試み
3 中国における「タイムバンク」の需要と現状
4 「タイムバンク」の充実と高齢者向け助け合いへの対策と提言
第17章 地域包括ケアのネットワーク機能の強化に向けて--日本・デンマークの自治体の事例研究(銭本隆行)
1 地域包括ケアのネットワーク機能強化へ向けて
2 研究方法
3 日本とデンマークの比較
4 日本とデンマークのケアシステムの違い
5 医療と介護の連携、財源、高齢者主体の活動がカギを握る
第18章 過疎地域で[暮らす]ことを支える--あらためて地域包括ケアを考える(中田雅美)
1 なぜ過疎地域の地域包括ケアを考えるのか
2 過疎地域での暮らし
3 過疎地域での暮らしを支える
4 過疎地域の地域包括ケアを考える
第V部 社会福祉の担い手と専門職性--いかに役割を発揮するのか
第19章 高齢在日朝鮮人の貧困と排除の背景にあるもの--戦後民生委員制度との関係から(竹中理香)
1 歴史の中の在日朝鮮人
2 1950年代の在日朝鮮人の生活問題と生活保護制度
3 保護獲得闘争と民生委員制度
4 保護の「適正化」にかかる民生委員
5 高齢在日朝鮮人の貧困と福祉サービス利用の背景--民生委員制度のあり方をめぐって
6 在日朝鮮人の記憶と展望
第20章 障害当事者主体とソーシャルワーク--省察的実践と協働の社会資源開発(伊藤葉子)
1 障害とソーシャルワーク
2 動きながら社会を変える
3 権利ベースで実践する
第21章 被災者世帯の生活再建支援における福祉専門職の役割(大橋美加子)
1 災害被災者に必要な支援とは何か
2 生活再建に必要なソーシャルワークの課題
3 生活困窮者自立支援事業のソーシャルワーク機能は生活再建支援に活用できるのか
4 誰も排除しない被災者支援の実現に向けて
5 災害時へつながる平時からの生活困窮者自立支援相談支援員の体制
第22章 社会的企業による地域福祉推進とソーシャルワーカーの役割(李 省翰)
1 社会的企業の登場と理論的背景
2 社会福祉と社会的企業
3 社会的企業による地域福祉推進とソーシャルワーカー
4 ソーシャルワーカーによる福祉ニーズの起業化
あとがき--『野口定久先生古稀記念論文集』刊行にあたり
索 引
【著者略歴】
2024年10月現在
中京大学現代社会学部教授