単行本(実用) 宗教 生き続ける聖典クルアーン / 小杉麻李亜

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管理番号: BO4875235
発売日: 2024/10/18
メーカー: ナカニシヤ出版

商品説明

宗教
【内容紹介】
イスラーム世界の生活の中に、朗誦として、またグッズとして浸透するクルアーンの章句。
人類学的なフィールド調査と文献研究を組み合わせ、イスラームの「メディア装置」としてのクルアーンの実態を浮き彫りにする、最新のクルアーン研究。
●著者紹介
小杉麻李亜(こすぎ・まりあ)
1981 年生まれ。
立命館大学文学部卒業、同大学院先端総合学術研究科博士課程(一貫制)修了。
博士(学術)。
日本学術振興会・特別研究員(DC1、PD)、京都大学大学院研修員(アジア・アフリカ地域研究研究科)、ニューヨーク州立大学客員研究員、ブルネイ・ダルサラーム大学客員研究員などを経て、現在関西大学文学部准教授(比較宗教学専修)。
文化人類学、宗教聖典研究、比較イスラーム社会論専攻。
『アラブの音文化--グローバル・コミュニケーションへのいざない』〔共著〕(田邉尚雄賞受賞)(スタイルノート、2010 年)、『イスラーム書物の歴史』〔共著〕(名古屋大学出版会、2014 年)、『大学生・社会人のためのイスラーム講座』〔共著〕(ナカニシヤ出版、2018 年)、他
【目次】
表記法等について
はじめに
序章 今を生きる
1 異なるものは同一である
2 対極にある2つの社会
3 近代がすべてを溶かす
4 生まれ変わる言葉
5 本書の狙いと目的
6 3群の基本概念
7 本書の主題と構成
第I部 生き方のソースコードとしてのクルアーン
第1章 ムスリム社会のリアル(実態イスラーム)
1 フィールドで出会う
2 分量と種類の有無
3 音として流れる
4 不在の語り手
第2章 クルアーン研究の今日の地平
1 クルアーンの成立
2 東洋学による解体
3 現象学的/意味論的ブレイクスルー
4 記号論的分析の意義
第3章 メディアとしてのクルアーンとソースコードの社会的作用
1 力を生み出す代理システム
2 イスラームのメディア装置の特徴
3 イスラームの多神教的側面
4 「ソースコード」「命令コード」としてのクルアーンの登場
5 3つの命令コード
6 メディア装置論の構成
第II部 「記譜」された音としての書物
第4章 音の補助具としての「書物」の形成
1 クルアーンの書物化
2 ウスマーン版の成立と初期写本
3 「神の言葉」を記す技術と二大書体
4 共有される威信財としての書物
5 信仰共同体の2つの「ウスマーン本」
第5章 20世紀の「ウスマーン版」へ
1 刊本時代の幕開けとアズハル・レジーム
2 サウディアラビアによる大量配布と刊本の検品
3 現代における刊本の校閲と朗誦学者
4 刊本時代の特徴とデジタル化
第III部 クルアーンの原型をたどる
第6章 イブン・アーシュールの章名論
1 現代から古代へワープすることは可能か
2 2つの学問領域
3 イブン・アーシュールの位置付け
4 イブン・アーシュールの立論の特徴
5 いかに名付けられたか
第7章 章の名付けが意味するもの
1 「標準版の確立」という定説
2 書承の章名と口承の章名
第8章 口誦テクストの操作
1 操作テクニックをどうやって復元するのか
2 音をストックし管理する
3 テクストに保存された政治的な文脈
4 ムハンマドを取り巻いていた状況
第IV部 音としてのクルアーン
第9章 朗誦の復興
1 音楽的側面
2 言葉と旋律の関係
第10章 全国朗誦大会
1 大会の舞台
2 朗誦を審査する
3 国境を越えて流通する音
第11章 実演の計量分析
1 リサイタルの録音という珍しい例
2 リサイタル内容の検証
3 ポーズとリフレインの比較
第12章 女性と聖典
1 女性たちの学習活動
2 女性朗誦家をめぐるコンフリクト
第V部 日常に埋め込まれた断片
第13章 神を忘れない
礼拝(サラー)--
1 法学的規範と実践
2 礼拝(サラー)の実態に迫る方法
3 礼拝(サラー)の前後と誰とおこなうか
4 行程と身体動作および文言
5 地域的・個別的な差異
第14章 神を埋め込む
礼拝の中のクルアーン--
1 典拠としてのクルアーン
2 章句が関与する度合い
3 フィールドで内的意味を探す
4 叡智(ヒクマ)と一般信徒
5 クルアーンを発現させる
6 礼拝が作り出すしもべ(アブドゥ)
第15章 日常を聖化する
日常発話--
1 聖なる場所ではなく
2 聖なる句
3 無自覚な発話に対する聞き取り
第16章 この世を寿ぐ
グッズ、アクセサリー、ステッカー--
1 使用実態から見る傾向と相関性
2 オーラルのマテリアル化
第VI部 クルアーンがある空間
第17章 クルアーンが作るイスラーム的エージェンシー
1 イスラーム的生と自律性
2 徴付けられた世界
3 神話世界と成立宗教
4 供犠(ザブフ)と神の名を唱えること(バスマラ)
5 欲望と帰依の主体
第18章 受肉するソースコード
1 ディバインリーダブルから、ソサエティリーダブルへ
2 前近代的バルクの形成
3 コンパイラーとバルクを失った時代
おわりに
「現代のクルアーン」を追いながら--
補論1 クルアーン研究史
1 近代的学問としての東洋学におけるクルアーン研究
2 東洋学の方法論的な問題点と内部からの批判
3 井筒俊彦によるブレイクスルー
4 民族音楽学からの貢献
5 ミクロ化と啓典解釈学研究への移行
補論2 ロンドンで見たクルアーン学会
はじめに
1 第6回大会の日程と内容
2 クルアーン研究の動き
おわりに
補論3 礼拝研究史
1 範疇をめぐる人類学と宗教学の溝
2 東洋学における礼拝研究

参照文献
あとがき
初出一覧
人名索引
事項索引
【著者略歴】
1981 年生まれ。
立命館大学文学部卒業、同大学院先端総合学術研究科博士課程(一貫制)修了。
博士(学術)。
日本学術振興会・特別研究員(DC1、PD)、京都大学大学院研修員(アジア・アフリカ地域研究研究科)、ニューヨーク州立大学客員研究員、ブルネイ・ダルサラーム大学客員研究員などを経て、現在関西大学文学部准教授(比較宗教学専修)。
文化人類学、宗教聖典研究、比較イスラーム社会論専攻。
『アラブの音文化--グローバル・コミュニケーションへのいざない』〔共著〕(田邉尚雄賞受賞)(スタイルノート、2010 年)、『イスラーム書物の歴史』〔共著〕(名古屋大学出版会、2014 年)、『大学生・社会人のためのイスラーム講座』〔共著〕(ナカニシヤ出版、2018 年)、他。