単行本(実用) 児童書 いばらの髪のノラ Ⅲ世界の器 第3巻 / 日向理恵子

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管理番号: BO4867044
発売日: 2024/08/29
メーカー: 童心社

商品説明

児童書
【内容紹介】
ノラに〈黄金の心臓〉を手に入れることはできない。
だから、棲み家にも帰れない。
棲み家にいても、地面の上でも、だれに会ってもノラは、失敗することしかできない。
心臓が暴れている。
こんなにおどろきつづけているのだから、とっくに魔法は起きていていいはずだった。
けれどもノラの心臓は、まともに脈を打つことすら、できないでいた。
起こりかけてはねじまがり、消えてはよみがえる魔法が、ノラのなかで行き場を求めて吹き荒れる。
「……ああああぁあ」地面に顔をすりつけて、ノラは泣いた。
涙で魔法がみんな溶けてしまえばいいと思った。
そうすればもうノラは、どこにも行けなくなる。
なにも望むことができなくなる。
(ごめんなさい。
最初から、なにもほしいなんて思わなければよかった。
なんにも、しなければよかった)棲み家の北の塔で、じっとしていればよかった。
足首の鈴が鳴ることがないように、じっといつまでも、息をひそめていればよかったのだ。
そうしたら、なにも起こらずにすんでいたのに。
……大きな魔法が働いて、ノラたちは〈あかつきの町〉の僧院にいた。
言葉を話すゾウたちの僧院で、ノラは父の墓と、父が書き残した本がここにあることを知る。
この町は、神炉の火をたくわえる研究をしていた人間たちの町だった。
図書館で父の本を見つけるが、書かれていたことに打ちのめされるノラ。
ノラ。
すべての魔女は、世界の器になる。
器が必要になろうとしている。
おだやかなのに、その声はとても厳しかった。
その響きは似ていた、〈ラ〉に、セムに、キサラに、ミダに、ホゥカに、ウラナさんに。
たくさんの声に似ていて、けれども、だれとも似ていなかった。
あなたの歩いてきた世界の入れ物に、あなたはなる。
その器が、世界を新しくする。
どういう意味なのか、ノラにはわからない。
ただ、知らない響きのその声が、苦しくなるほどなつかしかった。
さあ、行かなくては。
ノラの肩を見えない手が押す。
その力は、悲しくなるほどかすかだ。
食べものをもとめて暴走する神炉は、〈あかつきの町〉を破壊しながら、ゾウたちの僧院をめざす。
生け贄になることから逃げ出した男の子・モモがいるのだ。
リンゴはモモを守るために、神炉の前に立ちふさがる。
そして、神炉は光の束となってリンゴを取りこんでしまう。
リンゴは神炉に食べられてしまった。
絶望するノラだが、シュユ・シンの助言により、リンゴを助けるためのただ一つの方法を選ぶ。
【著者略歴】
1984年兵庫県生まれ。
主な作品に「雨ふる本屋」シリーズ(童心社)2023年にアニメ化された「火狩りの王」シリーズ(ほるぷ出版)『ネバーブルーの伝説』(角川書店)『迷子の星たちのメリーゴーラウンド』(小学館)『星のラジオとネジマキ世界』(PHP研究所)『魔法の庭へ』(童心社)などがある。