商品説明
技術・工学
【内容紹介】
心臓の鼓動に触れて生命の意味を理解する「心臓ピクニック」、オノマトペの触り心地を可視化する「触相図」など、独創的な実践から見えてくる、触覚と情報との関係とは。
身体に深く根ざした感覚〈触覚〉と情報を結びつける力を「触知性」と名づけ、情報に対する感受性のあり方を探る。
文庫化にあたり、補章「触覚情報学による『わたしたち』のウェルビーイングへ」を追加した。
第69回毎日出版文化賞〈自然科学部門〉受賞作。
【目次】
まえがき
序 章 触知性(触覚と情報の関係性/本書の構成)
第1章 触覚と情報
一 触 覚(触覚という感覚/対象認知のための触覚/存在の感覚としての触覚)
二 情 報(記号伝達と意味伝達/意味伝達のための情報/生命情報と社会情報の違い)
三 メディアの触覚性、触覚のメディア性(メディアはメッセージ/ソマティック・マーカー/メディアとしての触覚)
第2章 触れて情報を理解する
一 記号接地(記号接地とは何か?/記号の意味を理解する/“自分事”としての記号接地)
二 心臓ピクニック(記号としての心臓/鼓動に触れるワークショップ/ワークショップの手順(アルゴリズム)/鼓動に触れる体験で感じること)
三 触覚の実在性と象徴性(生命活動の外在化/無機質な箱になぜ生命を感じるか/心音を通じて誰かに移入する)
第3章 触れて現れる情報、触れて残る情報
一 メディアのメッセージ(情報伝達における内容と方法/声と文字/放つ声、?く文字)
二 Yu bi Yomu(ダイナミックテキスト/なぞり読みの特徴/読みを伝える/文章表現の未来、読文の未来)
三 触の類像、触の痕跡(アイコン・インデックス・シンボル/志向姿勢/情報理解・情報伝達と触覚)
第4章 触覚の語彙、語彙としての触覚
一 分節、象徴、オノマトペ(感覚の分節化と名づけ/音声詩/オノマトペと音象徴/音象徴に基づくオノマトペの印象の定量化)
二 触感のカテゴリ--触相図(触覚の分類/触相図を利用したワークショップ/触れた感覚と音の感覚の結合)
三 音象徴、触象徴(音韻・触感の類像/感覚を超えた類像)
第5章 触覚の文法
一 アブダクション(触感の組み合わせ/分節化と法則化/推論の形式/触覚の文法とマッサージ)
二 触譜で表されるマッサージ(差異を生み出すファセテラピーマッサージ/触譜/マッサージの分析/繰り返し、パターン、リズム)
三 言語的世界認識(記号と解釈と対象の関係/アブダクティブな世界認識)
補章 触覚情報学による「わたしたち」のウェルビーイングへ(「概念装置」をつくる研究/情報環世界としての「わたし」/ウェルビーイング=全体からの包摂+閉じられた個人/「わたし」と「わたしたち」をつなぐ触覚/対話篇1:触覚と自己観(with 向井知子氏)/対話篇2:触覚で感じるコミュニケーション(with クワクボリョウタ氏))
情報を理解する感覚のリテラシー--あとがきにかえて